國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

津軽じょんがら節

Dock of the Bay

Dock of the Bay


やくざ映画の変種。
「東北映画」というジャンルを考えた。東北新社絡みの映画ではない。
東北が舞台の映画。いわずもがな。
てゆーか「裏日本映画」にしとくか。
いや、太平洋岸の場合もありそうだが、まあいいや、なんでも。投げやり。
で、まあ例えば今村昌平の「赤い殺意」とかこの「津軽じょんがら節」とか
若松孝二の「聖母観音大菩薩」(浅野温子のおっぱい全開!それが見所。
若松孝二の映画の中ではあんましおもしろくない方だと思う。
しかし浅野温子、今度の新しい「あぶない刑事」にも出ているようだが、それはちときびしい。
見ててつらいよね、きっと。たぶん。またあした。)とか
おんなの細道 濡れた海峡」(もしかして三上寛が出てるから、「東北」って
おれは思い込んでるだけかも。でもなんでもいいや。すげえいい映画。これ。)
とかその他もろもろ。
ATG映画とか日活ロマンポルノとかによくありそうな気がする。
なんてーか、因習的な田舎と都会(殆ど新宿)との邂逅、みたいの。
寺山修司だって東北弁が売りで、土着vsアーバン(でもその実垢抜けない)みたいなテーマ、
図式、って昔はいっぱいあった。高度経済成長とその蔭で忘れられた人々、みたいなのとか。
まだ貧乏にリアリティーがあった時代。70年代。
地方がまだ田舎らしさのあった時代。
「津軽じょんがら節」だと出稼ぎってのも結構カギになっている。
いまは出稼ぎってまだあるんだろうか。ぜんぜん知らないや。
昨今、出稼ぎといえば大概は中国あたりからとか外国になる。
あとこの映画が当時の様子をちゃんと写し取っていたかどうかはわからないし、
映画に合わせて、殊更田舎性を強調していたのかも知れないが、みんな車に乗らない。
バスを利用している。少なくとも当時、まだ東北新幹線も通ってはいないし
(劇中、新幹線の話は出て来る。幹線道路がどうとか。日本列島改造論。)、
いまほど道路も発達はしておらず、みながいい車にも乗ってはいなかった時代。
いまは地方でもふつうに外車とか走ってるしなあ。昔は外車だなんて、都心でしか
見かけなかったよなあ。金持ちになったなあ。日本。おれんちの近所でも
ミニクーパーとかしょっちゅう見かける。おれも欲しい。
津軽じょんがら節 [DVD]

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赤い殺意 [DVD]

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斎藤耕一は失敗作でもあろう「薔薇ホテル」でさえ、おれには好ましく、
映画としてはこの「津軽じょんがら節」よりも松本清張原作映画「内海の輪」の方が
惹きつけられるものがあったが、でもやっぱよかった。「津軽じょんがら節」。
前に観たことあったかなあ。記憶はない。もしかすると大昔、
東京12チャンネルの土曜の夜とかによくやってた邦画番組とかで観ているのかも知れない。
でもたぶん初見。ただ、タイトルは有名だったので、名前だけは昔から知ってはいた。
キネ旬で一位を取ってるし、当時話題だったのは確か。
なんか観ちゃうんだよなあ。撮影は確かに素晴らしいんだけど、それだけじゃない。
なんだろうなあ。わかんないや。
セリフはほぼ棒読み、演技はほぼ大根、設定やセリフは取ってつけたよう、
とも云えるんだけど、でも魅力的。なんか観ちゃう。
まあ単純におれの場合、70年代の匂いについノスタルジー、あながち知らぬ空気じゃなし、
懐かしさに郷愁を覚えもする、ってのもあるかも知れない。
大体ATG映画とか好きだしさ。青春してるしね。それもうらぶれた。同調しやすい。
この当時、脱ぐ女優は無名の新人で、その後も特に活躍を聞かない、
の法則はここでもあてはまっていた。
でもこの頃から、それぞれ新人とはいえ、関根恵子とか原田美枝子とか、
更にその後には森下愛子とか、若くて可愛い女優さんがバンバン脱ぐ、
乳首を惜しげもなく披露、の時代がやってくるのでした。
ああ70年代。イエスタデイ・ワンスモアに入ってしまいそう。