國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

影響

職場の男の子で、髪をいじるのが大好きな子がいて、彼、しょっちゅう自分で髪を切ったりしている。
それも三面鏡まで用意して後ろ髪まで、ついと起きたついでとかにまで。
しかし、彼、いつからそんなに髪型に熱心になったかっていうと、
大学生になってかららしく、それ以前は割りと無頓着だったらしい。
それがともだちの影響で髪を気にするようになり、その手の雑誌もよく見るようになり、
気づくと自分であれこれいじるようになったとのこと。
まあ髪型を気にするやつは多いだろうが、彼ほどに自分でハサミ使っちゃ、ああでもない、こうでもないと
実際に髪に手を入れる人間はそうはいないだろう。
そんな彼を見たりすると、おれはある種、羨ましさを感ずる。
「ともだちの影響」、これだよなー。
おれも影響受けたかったなー。いっぱいいっぱい、いろんなことで。
自分だけだと気づかないことや、試してみることさえ考えつかないようなことでも
人の影響受けて、いつの間にやら好きになったり、考えを改めたり、そんなことって結構ある。
そういうのってすっごくイイ。
自分ひとりなんてつまんないよ、そんなの。
他人と関わるってのは重要さ。人生が拡がるネ。生活に幅が出るネ。
場合によっちゃ人生変わるしさ。
おれの妹だって、昔は「英語ができたらいいなあ。」ってなんとなくぼんやりと思ってるありがちな女の子で
けど実際にはそんなに英語がそもそも得意なわけでもないし、マジメに取り組むようなこともそんななくって、
なんとなく英語がしゃべれるのに憧れてる、そんな風だったのが、アメリカ人と結婚して、
アメリカに住むようになって、いまじゃそれなりにきっと喋ったりしてるんだから、なんかふしぎだ。
おれの方が英語、得意だったわけだしさ。元々は。
まあいまだって、それなりにコミュニケーションに不自由はしない程度で、そんなに際立って英語を
理解してるとかそんなんじゃないかも知れない。けど、中途半端に英語ができる、
もちろんしゃべれやしないおれなんかよりはよっぽど、人と英語で交通を図るには
自由にこなしてるわけだろうから、大したもんだ。
アメリカ人の彼氏と出会った御蔭だ。つまりは。
出会い。他人の影響。ひとりでいたってつまらない。
おれだって昔は人の影響を受けようもなく、そんな冬の時代(生まれて初めてこの表現遣った「冬の時代」)
を経て、やがては人とも関わりが出来てくるようになると、特にまた、女の子とつきあうとさ、
影響受けるのさ、これが。いままで関心なかったものにも関心が行くようになるし、
行ったことないところにも訪れるようになって、世界が拡がる。それはうれしい。
好きなものが増えるんだもん。それで世界がちょっぴりたのしくなる。