國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

キューティーハニー

市川実日子が見たくて、も一回観た。
やっぱかわいい。ああ。いとしいかわいさ。)
そんで、おれ、これ、結構好きかも知れない。市川実日子をひとまず置いておいても。
映画としてはどこか力のない、なんでだかテンポを感じない、もひとつふたつ盛上りに欠ける
ものじゃあるけれど、スキかキライかで言ったら、スキ、かな。

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大昔に観たんで、印象間違ってるかも知れないけど、なんかコレ↑思い出す感じだった。そういえば。
前回観た時、そう思いついたんだ。
アニメチックな実写ね。そこが共通点。
(「ハニー」の場合はアニメ"チック"なんかじゃなく、すべてのカットがアニメのそれそのものだったりするけど。)
ハニーがなんだか熱くなって、敵を蒸し殺す場面見てたら、なんか「新世紀エヴァンゲリオン」の
アスカを思い出したョ。なんか似たような場面があったような気がしてきた。でも「エヴァンゲリオン」は
一回っきゃ観てないので、ゆってることは適当だ。つうか、なんかアスカが狂っちゃって体中から
なんかぴろぴろ伸びてくようなシーンかなんかあったけど、あれを想起してたんだな。
なんとなく。なんとなく、ね。細かいことは知らないよ。
村上淳がよかったなあ。なんかふわっと軽くって、アニメっぽかった。出てくる度に楽しみだった。
あと彼の声がよかったんだ。たぶんそれが大分効いてる。
そして彼には中身がないっぽくて、ポップで、それがつまりはハニー役のサトエリには
決定的に欠けてることだった。
市川実日子と気持ちが擦れ違ってしまい、ふらふら街を彷徨い歩くシーン、あれは基本的にポップで
ドライなイメージを抱かせるキャラクターが物思いに沈み、俯き加減で歩き廻るからこそ、
生きてくるはずで、イメージはポップなままで、けど表情だけが悲しげ、それが本来はミソ、
その点、元より生身っぽく、めそついた顔のサトエリだと、ぜんぜんハニーに成り切れてないんだ。
だから普段とのギャップが生ぜず、そのシークエンスが生きない。
悲しみの最中でもサイケな衣装に身を包み、派手な露出で、時には地下道でギター弾いて唄ってしまう、
それでもなおかつ、悲しみに打ちひしがれているハニー、それが彼女には出来ない。
それは彼女のせいじゃない。この役が回って来てしまったのが運の尽き。
でもまあ、こうして2回観たりしてると、なんとなく愛着は湧いては来ちゃうんだけどね。
わるくないんじゃない、とかさ。けどやはり結果はアウト。彼女のせいじゃない。それはもう一度。
(最近思うのはひどい映画、つまらん映画、出来のわるい映画でも、2度3度観てしまうとなんか
スキになって来てしまうんじゃなかろうかってこと。それが怖くて2度観が出来なかったりもする、
それはちと大袈裟か、事実無根か。ま、この際。レトリック、レトリック。大体複数回ちゃんと観るの、
メンドくさいしね。ただ予感はする。2度目になったらアラもわかるけど、スキにもなりそう、って。
又逆にメチャクチャ気に入ってしまった映画だと2度目を観るのが怖い、こちらの予感は昔から。
実際そういう傾向はないじゃなし。2度目だといろいろわかっちゃって批判的に観ちゃうんだよなあ。
分析的に。見逃しときゃいいものまで、つい気づいちゃったり。そういう分った風な観方は出来れば
避けたいけれど、そいつをついとやっちゃうのもこれまた人情。それはそれである種楽しみで、
分析解析、そいつは又楽しいが、野暮ってもんだし、興を殺ぐばかり。なので極力避けたい所存で
毎度臨んではいるのです。映画観る時は。つじつまがどうとか、設定がヘンとか、女優さんが
ブサイクに見えるショットとか、ストーリー展開のよしあしとか、その他その他、
なかったことにしたいことあれこれ。目を瞑ってこその映画の娯しみ。)
ハニー、悩んだ際、新宿をウロツキ回る、ってのはしかし一体どうなんでしょう。新宿ですよ。
普通渋谷だよな。いまどき。新宿が庵野監督のテリトリー、ってことなんだろうなあ。別にハニーが
70年代前半を想起させる、正に当時ならではのキャラだから、って意図じゃあないよなあ。たぶん。
ハニーは正にアニメキャラで、それが為にサトエリも上手く嵌らなかったりもするんだけど、
市川実日子はその点、この映画に於いてはキャラクターが人間のそれ、なんだよな。
だからこそ映画としては描くに向いてて、彼女のよさが引き出されるに到った、と。
気がつくと彼女の映画になっていた、ならざるを得なかった、と。
そして彼女ともうひとり、id:magma890さんの言う通り、シスター・ジルに仕える手塚とおるも又、
人間として生きていて、映画を観ていると彼にも興味を引かれて行く仕組み。