國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

High Water Everywhere Pt.2

「人種問題」(ISBN:4794962037) スタッズ・ターケル
スタッズ・ターケル:Amazonでの検索結果)
項目:「女たち」−白人季節労働者:ペギー・テリー(1990年)
『あたしにも、おぞましいことを口にしたり、信じていたころがあった。いつかまた、そういうことになるんじゃないかと思う。思いだすのよ、公民権運動に参加する前の四十歳の私を。南部生まれだから、よけいダメ。南部生まれは思ったことをつい口にしちまうから。しょっちゅうよ、考える前につい口がすべっちゃうの。ユダヤ人も憎むように育てられた。彼らがキリストを殺したとかで。反黒人の意識はそのままでね。黒人がこう言うのを聞いたことがある。ユダヤ人はこの国にいる黒人に感謝するべきだ。黒人がいなかったら、ユダヤ人が餌食になるんだからって。この国に移民がやってくると、いつだって彼らよりちょっとだけ上の人種がいる。あたしの見方では、ユダヤ人が黒人よりほんの少し上。社会にはいちばん上の層と、いちばん下の層がなくちゃならない。だれかがどん底にいなければならないわけよ。自分より下の人間は必要ない。そういう境地に達したとき、人ははじめて大人になる。わが身を振り返って、自分はこのままでいいんだと、言えるようになったときにね。あたしは下の人間なんて必要ない。あたしと同じ階層の人間がなんのビジョンも持てずにいるのは、ひとつには人種間の憎悪のせいよ。だれかを憎むことで精いっぱいで、人間がどれほど美しいものなのかも、世の中のすばらしいものをどんなに破壊しているのかも、気づこうとしないのよ。』