國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

藤澤恵麻

彼女がメインのシーンのみ「天花」を見ている。なんだかどんどん好きになってゆく。
彼女、セリフもそうだが、なにより挙手動作のおぼつかなさがたまらない。
先に行っちゃった市川実日子を追っかけて小さな川を石を踏みつつ渡る時、
彼女すっころぶんだが、そのこけ方の演技の拙いこと拙いこと。
あともうひとつ、電話しててもちろん相手がいて会話してるってわけだが、
そうは見えない独り言のよう、受話器を持って話してる
藤澤恵麻ちゃんのベシャリの力のない、演技以前の自信のなさげな棒読み、
そいつがまたたまらんかった。
映画でもなんでも棒読みって大好き。
逆に彼女と比べると、まあ脚本その他の出来の悪さに比例してるので仕方ないけど
石野真子をはじめ他の出演者の演技の臭いことわざとらしいこと。
そういう中にあると藤澤恵麻の棒読みは尚更にフレッシュ!フレッシュ!フレッシュ!
さて吉祥寺で須和野時夫とデート中、「天花」こと藤澤恵麻ちゃんは「ろくでなしブルース」な
抗争に巻き込まれ、つい気がつくとまわりには半殺しの男たちの山。「ナニコレハッ?!」と驚く間もなく恵麻ちゃん、
地元ヤクザ組織にスカウトされ組長に無理矢理されてしまうのだった。そうこうするうちクリスチャンの彼女、
セーラー服のまま(おや?)機関銃片手に仁義を切るハメに。そいつが渡世の義理ってもんよ。
しかしそうはいっても元々セリフのおぼつかない恵麻ちゃん、こんなことならともだちと
カラオケにでも行ってればよかったと思いつつ、鼻歌まじりにセリフを言ってみたらばこいつがイイ感じ。
そしたら他の出演者みんな歌いだしたョ!
歌えば天国、万事解決、天にひと花咲かせましょう♪
とパラソル広げて地面にいっぱい並べていよいよグランドフィナーレ!!
ああめでたいめでたいめでたなや/あ、それ♪と。
【 完 】