「暴力と変態とエロの塊」
サイコーだ!内館節。
トリッキーな演出は控えられ、いい感じに地味になって来た。
その御蔭か牧子のいつもの調子が感じられて来て見応えが出てていいゎ。
仕事の話が妙に抽象的とかね。赤坂ヒルズがどうとか、どこか取ってつけたよう。これぞ牧子節。
「仕事とかそういうむずかしいことはわからない」、そのコンプレックスまま。
ゆっとくがおれもその手の事はちんぷんかんぷんだ。だからある意味同意しつつ鑑賞。
森口瑤子が河原で泣いてるとことか、不自然なんだけど、でも云ってることはどっか分かる、とか。
しかもその河原のシーンの演出が抑えたもんになっていて、森口瑤子もそんなに力んで
セリフ云ってるとかそんなんじゃなかったのが今回よかった。やっぱこうじゃないとな。
地味目の演出。不自然なシーン。なんかおかしいけど、でも説得力のあるセリフ。マー様だゎ。
『昔の男』では藤原紀香に悪い意味でアテ書きをしていて、『年下の男』では
風吹ジュンに自らを投影し、(勝手に)同化して書いていた。
話の運びは大時代だし、仕事などに関する描写やセリフはディテールの詰めが甘く、
劣等感と怨念がくるくるとあちこち飛び交い、笑ってもしまうが、しかし真情が
込められてはいるのも確かで、しかも内館牧子の抱えるコンプレックス、自信のなさ、
行き場のなさ、そういったものは実は共感してしまう人もまた多くいるであろうし、
ヘンなんだけどいいとこ突いても来る。こんな人(牧子)と一緒じゃイヤ、
とは思いつつもどこか共感している自分。
描き方が時に不自然、やりすぎ、笑っちゃう、おれだって『昔の男』はゲハゲハ身悶え
しながら見てたし、けど取り柄といってなにもなく、これからが心配で、結婚、恋愛、仕事、
共にこの先、頭打ち、それはでもまた自分のことだと気づいてもいて、笑い飛ばして、
ハイ、おしまい、ってわけには行かず、見ているこっちになにか残ってしまう。
それが牧子マジック。
あと男、特にイケメンに弱い。それが牧子。
男には随分とロマンチックな幻想を抱いている。
『週末婚』の阿部寛とかさ。女がいるわけでもない、ただ一人になりたいから、って
アパート借りてみたり。あと『週末婚』で彼氏、最後には「国境なき医師団」とかに
行っちゃうんだぜ。他にも『昔の男』の大沢たかお。べらんめえ調で喋るし、
時折「夜中にバイクでぶっ飛ばし」ちゃう。カッコイイ!なんかそういうのが牧子の理想。
モデルはたぶん裕次郎とかそのへん。
仕事の出来る女にはあれこれ心配、詮索、罠が待構えてたりするのに、
これが男となるとてんで甘い。それが牧子。
リアリティーはないけど、リアル。それが牧子。