國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

ロスト・イン・トランスレーション

はじめに歌舞伎町で新宿かと思ったのも束の間、「三千里薬品」の看板のどアップになって始まるのだった。
カラオケに"What's so funny 'bout peace, love and understanding ?"って入ってるのか。
知らんかった。
最後の謝辞にジョン・ライドンの名があった。
映画で一番印象に残ったのはダイヤモンド・ユカイだった。
役以前に彼の口調が残っていて、彼のソロのライヴをなぜか観た事のあるおれには
なんか懐かしい気がするのだった。
まあロックンロールな感じのシャベリですな。
主演の女の子はソフィア・コッポラ似で、始めはもしかして本人?とか一瞬途惑った。
5:15の回に行ったのだけれど、30分以上前から並んだせいなのか、案外にいい席、
2階席一番前に3人並んで取る事が出来、チョー混みと聞いていたが、意外と上手いこといった。
近くおれの住んでるとこから車で30分程度、ユナイテッド・シネマ入間、
つまりはシネコンでやるが、その時の方がやはり映像はシャープで明るいのかも知れない。
上映状態はシネコンの方がよろしいだろうと推測している。
設備や設計がさ、シネコンの方がナウいんだよな。そもそも。
シネマライズでは「イヤー・オブ・ザ・ホース」を観たことがあったのを思い出した。
観たのは男子2人、女子1人のドリカム状態で、あ、いや、「ドリカム状態」の遣い方を間違った、
あれは元々3人だったのにまるで最初から2人しかいないかのように振舞うことを言うのだった、
定義が変わったのだ、それはともかく、そんなメンツで観たのでした。
(すまん、「ドリカム状態」についての言及をしたいだけだった。しかもまた同じネタを使い回し。)
3人で話していて「負け猫」というフレーズを思いついた。なんかカワイイ。
(と思ったらおんなじこと考えてる人は既にいっぱいいるのだった。グーグル調べ。
で、もうひとつ、「発酵美人」てのも考えたが、こちらはないようだった。
映画終わってから恵比寿方向、一風堂の先(♪すみれ September Love )、
線路に近いあたり、渋谷駅の、初めての人間には
大いに戸惑いを与える(おれも以前初めて行った時にはまったくにどこにあるのやら、
捜し捜して、ようやくめっかった)「新南口」とかその辺のホームが線路の向こうに見える
場所にあるカフェSOMAでちょいと食事。
大体都会へ出るのが久し振り、ましてやカフェなんざもう、とんと御無沙汰、普段の地方の
冴えない暮らしを離れてシャレオツに今日は決めてみた。
そのカフェも早々にそこから遠くない地下にあるなんとか云う、今度は全然シャレオツでない
ファミレスみたいなトコ、名前忘れた、に移って、おれはストロベリーパフェを食しながら、3人でしばらく歓談。
かれらとはもう知り合って6年かそこいらは経っているのかと、その間みな色々あったなあ、
時の経つのは速いもの、などと感慨に耽り、そこを出た後は、先程話しに出した新南口から
帰る積りで恵比寿方向へ歩いていったら、線路の向こうへ中々渡れず、このままだと
恵比寿まで行ってしまいそう、などと無用な心配も束の間、陸橋を見つけて、線路の向こうへ渡ったのだったが、
月は欠け気味とはいえその光は冴え冴えしく、もう寒くはないし、暖かく、人気(ひとけ)のないあたりを
歩いて行くのは楽しかった。出来れば年中そういうことだけしていたいのだけど、いかんせん生活がある。
まあそんな野暮なことはともかく、新宿でも渋谷でも、なんか映画のロケにでも使っても
よろしかろう通りや場所が、その陸橋あたりでもなんでも、もっとありきたり以外にも
幾らでもあるだろうに、いつも出て来るのはありきたりのありきたりだ。
ちょっと外れる楽しさ、気持ちよさってのがあるっていうのに、まったくに勿体無い。
誰か渋谷から恵比寿までの線路沿いの道を主人公たちに歩かせてくれないものか。
そんなことでいいんだけど。
(おれはあと、センター街を抜けて松涛公園の方までキャメラが進んで行ってくれたりは
しないものか、あそこの公園、小さい、で登場人物がボソボソとしててもいいじゃないか、
そんな映画がおれは観たい。)
(ああもう、とうに「ロスト〜」の話じゃなく、映画一般へ話題は移行。
というか、「ロスト〜」の話はハナから大してしてなかったが。)
(映画を撮るような人はともだちに恵まれていて普段から決まった場所へ直行してしまうのか、
一人で適当な方まで歩いていく習慣がないのか、なんでもないところまでキャメラが行かない。
そういうのがおれにはつまらない。渋谷だって、もっと映ってないとこいっぱいあるじゃないか。
ユーロスペースの近所のドトールでお茶してたっていいじゃないか。
その程度も中々ないのはどうしてなんだろう?)
(なんだかシネマライズ渋谷系な映画を男女3人で観に行き、映画の後カフェで食事、
駅までぷらぷら歩いたり、だなんてまるでともだちがいっぱいいて、
オシャレな生活をしている人みたいだなあ。おれ。)
(人に会うのだなんて久し振り、よって家族以外の人間と喋るのなんか久し振り、
都会へお出掛けも久し振り、着ているモノはオール・ユニクロ、
住んでるのは東上線の遥か奥の方、収入は極めて悲しくも乏しい、実際はそんな。)