野ブタ。をプロデュースPt.4
ヴォネガットがどこかで(出典を忘れた)、物語なんていうのは実際
3/4(?)ぐらいで終っているもので、あとは一応それらしいエンディングを
つけなきゃならないので、そうするだけ、みたいなことを書いていて、
そう考えれば、先週で一応決着し、ラストはいわばカーテンコールみたいな風だったのは
ひとつの正解とも云える。
(最後ちょっと雑ンなっちゃったのは、「野ブタ。」が予想以上に世間で反響が
あったことの余波と考えれば、そんなとこも含めてやっぱ「野ブタ。」に
勢いがあったことの証拠で、それはそれでまたうれしい。なんかたのしい。
まあなんでも好きなんだけどさ。「野ブタ。」。
でだ。伝説じゃん、ともかくも、すでに。
最終回、前の日の朝まで撮影してて、しかも終了後そのまま堀北真希ちゃんは
学校へ試験受けに行ってとかなんとか。)
そういえばおれが「TVブロス」で「野ブタ。」のチェックをしていると、始めの頃、
「放送回数未定」みたいなことが書いてあって、ちょっと気になってた。
それってもしかしてあれかなあ、「すいか」が視聴率的に以前大コケしたことを踏まえて
プロデューサーが会社相手に大博打、自分の立場を賭けて(?)木皿泉脚本でもう一度と陳情、
じゃ、それなりの結果を出せとの会社からの当然の御達し、
で、ジャニーズ(主題歌付き)、原作アリ(つまりえらいさん相手にプレゼンしやすい)、
学園モノ、謎解き(蒼井の一件)アリ、「ちゅうにゅう!」ポーズにそれに伴うグッズ、等々、
ウケる要素を散りばめて、しかもなお、視聴率によっちゃいつでも打切り、
それ覚悟、ってことで開始。したら、手応えアリ、主題歌もヒット、大ヒット、
そんじゃ回数増やしましょう。ってなわけで結果押せ押せになったとかなんとか、
大人の事情云々てな、つまらぬ憶測など。
で、大人の事情とかそういったこともみんなアリアリで充分わかってて、
清濁合わせ飲むこと承知で、それが生きていくことでもあり、
そしてまた世間てのがもっと世知辛いのも、学校ってのがもっと殺伐としていることも、
現実にはスッキリした解決なんかありゃしないことも、大概グズグズ、なんかよくわからんくなりがち、
ともかくもそんなこんなを踏まえた上で、木皿泉は書いている。
(蛇足:
木皿泉の男性の方は1952年生まれ、それ以上の経歴は知らない、
しかし連合赤軍事件のあった1972年に二十歳。それなりに思うこともあったはずだ。
その事件にもちろん限らず。年頃なりに。
あたりまえだが、高校生の話を書いてはいても昨日今日に学生だったわけじゃあない。)
そしてさらに木皿泉は、そりゃヤなこともいっぱいある、でもその一方で
ちょっとした親切や思いやり、分かち合い、愛情、そういったものもあたりまえに
やはりこの世界には存在してるじゃないか、そのことにも気づいて欲しい、
気づくだけでもきっと違う、そうすれば、ほんのちょっぴりこの世の中が
住みよくなるかも知れない、そんな願いくらい持ってたってバチは当たるまいじゃないか、
きっとそうも思ってるはず。
まあおれは例えば「火消し屋小町」みたいな割りにぬるめな、ご町内人情ドラマみたいなの
見ながらでも勝手に拡大解釈しちゃあ、人類のあり方にまで思いを致しては
涙流したりなんかしてはいるけれど、でも木皿泉に関しては、
作者はほんの身の回りだけじゃない、ほんの昨日今日だけじゃない、
地球に住む人間すべての来し方行く末をきっと心配しているというのは充分あり得ると思っている。
そういう思いを込めて「すいか」や「野ブタ。」も書かれている。おれはそう思っている。
おれが再三ヴォネガットの名を出すのも、つまりはそういうことでもある。