國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

『avec mon mari』

これ、板谷由夏の住まうマンション(というよりは団地という風情だが)のヴェランダからは
何棟かのマンションが少し遠くに重なって見えるのだが、それがなんとも不思議な絵面で、
それにはたぶん監督もそそられているのだと思しいが、そのショットだけでも充分に
見もので、惹きつけられた。はじめ、なにが映ってるのかよくわかんなかったもん。
夜になると今度は窓からの光の煌きだけで、これまた不思議な風景になる。それがまたよくて。
約三十の嘘』も再び観たかったが、それには渋谷まで行かねばならず、近場ではもう
やってなく、機会を逸し、残念。今日にでもまた行ければよかったのに。そう遠くないうちに
DVDが出るだろうから、またその折にでも、だな。ほんとは『とらばいゆ [DVD]』も
avec mon mari [DVD]』もDVDで手元に置いておきたいところだが、いかんせん、
そんな余裕はない。でも『AVEC〜』は近所にはないし、又観たい場合に困るなあ。
借りたのもそもそもビデオだし、どうせならDVDで観たかった。新宿TSUTAYAにもかろうじて
あったのはビデオ、でした。そういえば大島渚ってDVDでの入荷とかないけど、
なんか事情があるのだろうか。レンタル禁止?とか。単に予算の問題?新宿TSUTAYAならば
常備しててもおかしくないだろうになぁ。
大谷監督の映画って、セリフを言うに際し、なにかしら手はもちろん、身体が動いて
いたりするが、そのへんの動作の演出は実に優れていて、セリフと分かち難く、その動作の
アイディアが陳腐でなく、とってつけたように観てて感じられないのは相当な手腕、
そういや誰かの話してる途中でチャチャなり合いの手なりなんなりの入ってくるタイミングも
まったくの見事。そのへんもだから観てて生理的に気持ちいいんだよなあ。
だから何度も観たくなるし、観るに向いてる。分析以前にノレるのがうれしい。
分解分析したくないんだよな。ほんとは。なんに対しても。実際はしちゃうけど。
騙されていたいんだ。ほんとうは。騙されっぱなしでいたい。ほんとうは。
でも中々そうはいかない。カメラワークも演出もなにもかも一切忘れて、お話の中に
没入していたい。